2010年12月25日土曜日

メリークリスマス!! 海を渡るシャトルスタリオン(1)

 
 今年もあと残り数日となりましたがオーストラリアではクリスマスホリデーシーズン一色です。
私たちにとってこのシーズンは、北半球からやってきたシャトルスタリオン(種牡馬)たちがそれぞれのお国へと帰って行く時期で、今年も21日にアメリカ便、22日にヨーロッパ便がシドニーを出発しました。

 輸送に携わる私たちにとって世界でも名高い種牡馬たちをしかも12,3頭まとめて無事目的地まで運ぶというのは大変責任の伴う仕事ではありますが、携わる関係者皆で協力し合いチームワークのもと馬たちにとってなるべく負担の少ない最善な輸送を行うよう心がけます。

 まずはアメリカへ渡っていった種牡馬の中から何頭かピックアップして写真をのせます。



「ALL AMERICAN」
 デビッド・ヘイズ調教師(豪)のもと2歳時からその非凡な才能を見せ、本当ならもっと大きなレースを勝っていてもおかしくなかったレッドランサム産駒のオールアメリカン。今は種牡馬としてオーストラリアのアローフィールド牧場にけいようされていますが、今回オーストラリア生産、調教馬として始めて米国へシャトルされることになりました。



「BIG BROWN ビックブラウン」
ケンタッキーダービーでの圧勝は今でも記憶に新しいですが、今回始めて生で目にすることになっていたので対面をとても楽しみにしていました。写真ではIDチェック(身体照合検査)のひとつで上唇の裏にある刺青(リップタトゥー。米国のすべての競走馬にいれられています。)をAQIS(オーストラリア政府農政局)の獣医さんがチェックしているところです。

「MORE THAN READY」
米国でも豪国でも産駒がよく走っていますヘイロー系種牡馬のモアザンレディーが地上から貨物機の中までの移動の際「そとはどうなってるんだろう?」とばかりに首を伸ばしてジェットストールの外を見ようとしている所です。

「TALE OF THE CAT」
最後はテイルオブザキャット。毎年米国ケンタッキーのアシュフォードスタッドから南半球シーズン中ニュージーランド、オーストラリアへシャトルとして海を渡ってきています。馬の世界に「マイレージ」があるとすればこの馬のポイントは最高に貯まっているはずですね。写真ではジェットストール(馬空輸用ストール)に乗り込む前にちょっと外を眺めているところです。

 
さあ今週は有馬記念。ローズキングダムの出走取り消しが残念ですが、「グランプリ」にふさわしい好レースを期待したいですね。

2010年12月15日水曜日

香港国際競走回顧 マレーシアから

 

再びマレーシアへ来ています。メルボルンから2頭の競走馬と3頭のエンデュランス競技用アラブを空輸しましたが、以前にもお伝えしたようにメルボルンークアラルンプール間の空路輸送はほんの8時間ほど、ジェットストール(馬用ストール)への積み込み、積み下ろし、また待ち時間を入れても12時間程度ということで馬にとっても負担の少ない楽な(?)移動のひとつです。(ちなみにシドニーからブリスベンまで馬運車を使った陸送は14時間ほどかかります)



写真は現地へ無事到着し、クアラルンプール空港そばにある検疫所まで移動するために馬運車へ乗り込むところです。もちろん馬によってはストレスを感じやすい馬もおり(競走馬に限らず)一概には言えませんが、これぐらいの空輸になると馬体重の減少や輸送熱の心配もほとんどありません。現地へ到着し、無事馬運車にそれぞれが乗り込んで去っていくと、私たちフラインググルームの仕事もそこで完結しやっと一息つける瞬間です。





さて日曜日に行われた香港国際競走ですが、今年度も海外からの多数頭の参戦があり現地では大変盛り上がったようでした。年々そのレースシリーズの存在感を高めており、世界の競馬産業従事者にとってその年最後のビックイベント(もちろん私たち日本人にとっては有馬記念がそうですが)のひとつとして注目されるようになってきました。

日本からもジャガーメイルとエーシンフォワードの2頭が参戦しましたが、両馬ともよく頑張ってくれました。優勝はなりませんでしたが年々海外からの参戦が増えているこのレースシリーズのレベルを考えれば5着までの入着を果たすだけでも大したものだと思います。こうした経験を積み重ねていくことで調教スタッフもノウハウを身に付け次の海外遠征にきっと生きてくることと思われます。関係者の皆様お疲れ様でした。

今年のこのレースシリーズの中で印象に残ったレースは、「スノーフェアリー」の勝った香港カップ(2000m)とシンガポールの「ロケットマン」がまたもや苦杯を喫した香港スプリント(1200m)です。馬群を縫うようにして後方から一気の追い込みを見せたスノーフェアリーの強さは本物ですね。英愛オークス、エリザベス女王杯、そして香港カップと優勝し今年度の最強牝馬の称号を貰ってもよいでしょう。ただジャパンカップで日本のブエナビスタとの対戦が叶わなかったのは残念です。




そしてロケットマンですがここ一番で勝ちきれないのはどうしてでしょう。ドバイシャヒーン、シンガポール国際スプリントそしてこの香港スプリントとすべて僅差で破れ、関係者もさぞかし悔しい思いをしていることでしょう。どうせのことなら来年はいっそ7Fもしくはマイルのレースに使ってみたらどうでしょう?父親はコックスプレート(約10F)であのノーザリーとサンラインに僅差で敗れたバイカウント(その父Quest For Fame)ですし、ストライドの大きな馬だけにもう少し距離を延長しても十分走りそうです。シンガポールで調教を一緒に見ていた時、高岡調教師も同じようなことをおっしゃっていました。シンガポールのファンそして競馬関係者のためにも来年こそはぜひ大きなところを勝ってほしいですね。



 

2010年12月6日月曜日

ロスアンジェルスからシドニーへ

 昨日のJCD(ジャパンカップダート)は一番人気のトランセンドが見事な逃げ切り勝ちをおさめましたが、何と言っても外国からの参戦が一頭もいないというのは少し寂しいような気がしました。それが理由かどうか、今年のJCDがファンの間でも興味が低かったことは、馬券の売り上げ、入場人員も昨年度と比べ2割ほどダウンという結果が示しているような、、、、

 「ジャパンカップダート」と名前が付いている以上、ファンとしては多くの外国馬に来日して参戦してもらいたいですね。

さてドバイへの輸送を終えた後、次の日にエミレーツの旅客機でドバイからロスアンジェルスへ移動し次はロスアンジェルスからシドニーまでの5頭の乗用馬の空輸を担当しました。

 通常種牡馬や現役競走馬以外の馬の輸送は5,6頭であれば一人で担当することが多いのですが、今回はフェデエックス社さんの貨物機で輸送ということでルール上二人のプログルームが添乗する必要があり、ロスをベースにしている同僚のフランス人グルームと二人で輸送を担当しました。
 
 写真からも分るようにFXの貨物機(MD11)は中が本当に狭く、エアストール(馬用ストール)と貨物機内の内壁の狭いスペースが唯一の移動用空間です。


 次の写真は経由したホノルル空港の貨物倉庫内で待機して馬の体調チェックや給水を行っているときのものですが、ハワイの青い空とさわやかな海からの風が何とも心地よく、長い貨物機内での滞在から一時開放された私たちグルームも、ここぞとばかりフレッシュな空気を思いっきり吸い込み、手足を伸ばしておきます。

 こうしてシドニー国際空港まで計21時間の空輸を経て到着した5頭の馬たちは、そこから馬運車に乗り込みシドニー郊外の動物検疫所へと無事に移動していきました。
 


 

2010年11月29日月曜日

ドバイとチキンビリヤーニ


さて昨日のジャパンカップは一番人気のブエナビスタが強い勝ち方をみせましたが、、、、その後審議そして2位降着となんとなく後味の悪いレースになってしまいました。有馬記念ではぜひ再戦して決着をはっきりつけてほしいですね。

火曜日にシドニーからドバイへ2頭の競走馬を輸送しました。2頭とも殿下の所有馬で年明けに始まるドバイのカーニバル中のレースへ出走するためにオーストラリアから渡っていきました。
2頭ともドバイではマイク・デコック調教師(南ア)の管理化におかれるそうですが良血の牝馬たちです。
シドニーから香港を経由しドバイ国際空港までの空輸は約21時間で2頭とも無事に到着しましたが、この時期のドバイは気候的にもやや涼しくなるため、この馬たちもそれほど暑さによるストレスを受けずに現地の環境に慣れていけるのではないでしょうか。

ドバイへ来るとよく食べるのが写真の「Chicken Biryani(チキンビリヤーニ)」です。なんかカレーとチャーハンをあわせたようなものですごくおいしいんです。
このホテルで食べたのは、スパイスの効いたチキンカレー、そしてその上に干しぶどう、カシューナッツ、ミント、サフランなどと炒めたご飯、そしてゆで卵がのっていました。
ミントヨーグルトのソースとライタ(ヨーグルトソース)が付いてくるので、辛いものがあんまり得意じゃない私はこれをたっぷりかけてマイルドな味にしていただきます。
ドバイに行く機会のある方はぜひ試してみてくださいね。ちょっとスパイシーですがそれがとってもビールとあって最高ですよ。

 

2010年11月22日月曜日

シンガポールへ アルパカもいっしょに


先週土曜日にメルボルンから8頭の馬をシンガポールのチャンギ国際空港まで空輸しました。
先日行われたマジックミリオンズ社のブリーズアップセールではシンガポールからのバイヤーが多くの馬を落札していましたが、今回輸送した馬も一頭を除きそのセールで買われた2歳(未出走)の競走馬でした。

メルボルンで全頭無事ストールに積み込みが終わりSQの貨物機へ馬と共に乗り込むと貨物機内になんか他の動物のにおいが、、、。
そのにおいの正体は「アルパカ」でした。写真では馬のストールの後ろに木製のケージ(747専用に上下2段につくられた家畜用のもの)に入っています。


主な生息地は南アメリカの湿潤高原地帯(標高3500mから5000m)のこのアルパカですが、米国やオセアニア(主にニュージーランド)などではペットとして飼われている事もあります。
今回はメルボルンからベルギーのブリュッセル空港まで輸送されていくようですが、輸送中の面倒をみる為にアルパカ牧場の担当の方が一人添乗されていました。




写真だと分りづらいですがくりくりした大きな目がすごくかわいいですよ。毛色もいろいろあるんですね。

2010年11月15日月曜日

超音速旅客機 コンコルド


昨日のエリザベス女王杯は「スノーフェアリー」の強さが際立ちましたね。直線に向いてからの一瞬の切れ味はさすが英愛オークス馬といったところでした。
関係者の決断次第ではジャパンカップに出走するそうですが、予定通りに「ブエナビスタ」「ナカヤマフェスタ」「オウケンブルースリ」などの強豪が集まれば、海外からの多数の参戦組とともに見ごたえのある好レースが期待できそうですね。

さて先日ロンドンに行った際、宿泊していたホテルがBA(ブリティッシュエアウェイズ)の機体作業用倉庫のすぐ横だったのですが、そこの端に停機してあったのが2003年末に全機が退役していた「超音速旅客機 コンコルド」です。
その格好良さにしばらく見惚れていましたが、はじめて生で観るコンコルドは意外に小さく(乗客定員100名ほど)、横に広がる機体のわりに大きな翼と機体横に並んだ本当に小さな窓(葉書きの大きさ程度だとか)が印象的でした。
うわさでは、BAが2012年のロンドンオリンピックにむけて復活させるとかしないとか、、、。旅客機としての安全性や飛行時に引き起こす「ソニックブーム」が問題ですが、個人的にはファーストクラスの20%増という運賃を除けば、ぜひとも乗ってその「超音速」を体験してみたいです。


 

2010年11月2日火曜日

Melbourne Cup メルボルンカップ2010



先週土曜日にシンガポールから4頭の競走馬(引退して繁殖牝馬として渡豪)をシドニーまで輸送しメルボルンカップは家で観戦することが出来ました。

友人であるRVL(レーシングヴィクトリア)国際部Pからのティップで前走Geelong Cupを勝ったフランスからの参戦馬「AMERICAIN」が海外からの参戦組では一番いいと聞いて、「So You Think」とこの馬の勝負になるかどうかが私の焦点でした。
「So You Think」はレース前は落ち着いていていい雰囲気でしたがレーススタート直後から第1コーナーを回るまで鞍上のS.Arnoldが行きたがる「SO You Think」を宥めるのにだいぶ苦労しているようにみえましたが、あれでだいぶスタミナを消耗したのかどうか最後は力尽き、その後ろを終始力をためて追走していた「AMERICAIN」にさされてしまいました。

第150回目の記念となった今年のメルボルンカップは海外からの参戦組もあわせて9頭(全24頭中)と史上最多になりましたが、賞金のほうも総額豪$6M(約5億円)で一着賞金はなんと豪$3.6M(約3億円)!!2Mile(3200M)の長距離レースとしては世界最高賞金になりましたが、10着までに入れば豪$125000の賞金が入るといったことも海外からの参戦が盛んに行われる理由のひとつでしょう。

日本の「トウカイトリック」は良く頑張りましたね。内ラチ沿いに中団を追走し直線に向いて残り350Mで抜け出したときには「あわや!?」と思わせるような見せ場を作ってくれました。道中も直線も一番荒れている内側を進出していただけに、得意の良馬場だったらもっと違った結果になっていたかもしれません。

より国際色の濃くなったメルボルンカップですが、来年はもっと多くの日本の馬にぜひ参戦してもらいたいですね。

  

2010年10月27日水曜日

馬の専用飛行機?!

さてオーストラリアからドバイへの馬の輸送は普段だとSQやCXなどのカーゴ定期便を利用し、それぞれシンガポール、香港などを経由しながら目的地であるドバイ国際空港もしくはシャージャー国際空港を目指します。ところが今回はドバイの殿下の馬(主にエンデュランス競技用アラブ種)20頭ばかりの輸送ということで、殿下の専用貨物機B747でメルボルンからドバイまで直行13時間の空輸を行いました。

この殿下の専用貨物機、前は真っ白のB747Fだったんですが昨年末にこちらの新しいB747(お腹からおしりにかけて、またエンジン周りのブルーが特徴的ですね。)をお買いになられました。
以前にもこれについては触れましたが、この貨物機は、殿下が世界中から買い集めてくる馬たち、また所有している種牡馬、繁殖牝馬、競走馬などを主に運ぶための貨物機で、言ってみれば自分自身の「馬専用飛行機」なのです!



私たちがドバイへ向かう前日にメルボルンまでゴドルフィンのメルボルンカップに出走する馬を2頭(飛行機に乗っていたのはそれだけです!)乗せてきていたのですが、ホースストールのスペースも使い放題(通常3頭用に1頭か2頭のみ)で馬たちにとってのファーストクラスがあるとすればこんな感じになるんでしょう。貨物機の出発時刻や航路も馬にあわせてなど、本当に馬にとっては至れり尽くせりで夢のような話です。
  
 

2010年10月24日日曜日

So You Think - Cox Plate 2010 (コックスプレート豪G1)



今週はシドニーから2頭の競技馬(障害)をインドネシアのジャカルタまで空輸しました。

水曜日の午前中にシドニーを発ちメルボルンを経由した後まずはマレーシアのクアラルンプールへ。
クアラルンプール空港には「Animal Hotel」なるものがあり、そこで馬を一度空輸用ホースストールからおろし十分な広さの馬房へと移動させます。
クアラルンプールからジャカルタ行きの貨物機は次の日の朝までないということで、そこで13時間待機した後再度馬達をホースストールに積み込み出発。
そこからジャカルタまでは2時間ほどのフライトで到着し、待ち構えていた新しいオーナーのもとへ無事渡っていきました。

さてオーストラレシアのWFA最強馬決定戦、コックスプレート(豪G1)を今年は家で観戦しましたが、、、。
何ですかね?この馬の強さは凄過ぎます! SO YOU THINK(牡4)は並み居る強豪を相手に付け入る隙を与えず完璧な勝利でした。
何がすごいってこのレースがまだなんと10戦目!それですでにコックスプレートを連覇しているのですから大したものです。

まわりのメディアは3回このレースを勝った往年の名馬「キングストンタウン」と比較したり、関係者もレース後メルボルンカップ出走へ前向きな発言をしたりと話題が尽きることはありませんが、もしメルボルンカップにこのまま出走することになれば簡単に勝ってしまうのでしょうか?
しかも調教師は今や伝説となった真の「メルボルンカップキング」B.カミングス調教師とくれば、、、、。
SO YOU THINK???

 

2010年10月17日日曜日

2010 BMW Caulfield Cup コーフィールドカップG1(豪)



今週は木曜日にメルボルンから20頭(アラブ種)と共に殿下の専用機で出発しドバイまで行って来ましたがその様子は次回に。

ドバイからオーストラリアに戻りコーフィールドカップ(豪G1、芝2400m)を自宅で観戦しました。

今年はトウカイトリックが豪国でのEI(馬インフルエンザ)発症後、日本馬としては初めての豪G1参戦ということで楽しみにしていましたが、あの最悪の馬場(Heavy10)でよく走ったと思います。
ビデオを見ると、最終コーナーで内にいた人気馬のShockingが思いっきり外に進路をとったことで不利を受け、一時はさまれるなどバランスを崩し後退していますが、バランスを立て直した後はしっかり最後まで伸びていました。
野中調教師のコメントのように本番のメルボルンカップでは距離が得意の3200mになるのでぜひ頑張ってほしいですね! 

 

2010年10月10日日曜日

英国からシドニーまでの遠い道のり


さてイギリスーオーストラリア間の輸送ですが、ロンドンから定期カーゴ便を使ってコペンハーゲン、シンガポールと経由し約30時間後やっとシドニーへ到着します。

地理的にも地球の裏側からその反対までの移動になりますが、この二国間の馬の輸送は私たちの添乗する空路輸送のなかでも長時間にわたるものの一つで、馬にとって大変負担の大きくなる危険な輸送だけに、現地のエージェント、空輸スタッフ、エアライン(カーゴ会社)、クルー、陸送会社などそれぞれのプロフェッショナルが協力をして無駄な輸送待機の時間が生じないよう速やかに行わなければなりません。

今回の輸送まずは馬が輸出検疫で滞在している英国ニューマーケットの牧場から馬と共にホースボックス(馬運車)に乗り込みヒースロー国際空港へ。そこで馬たちは馬運車からジェットストール(馬空輸用ストール)へ積み込まれシドニーへ向けていざ出発です。馬たちは種牡馬、競走馬、馬術競技馬、ポニー、アラブ種など全部で26頭。中規模数の空路輸送のため私たちプロのグルーム3人の他ここからベット(獣医)1人が加わり計4人が空輸スタッフとして添乗しました。

道中は問題もなくスムーズでシンガポールに経由し、さて最終目的地のシドニーへ向けて出発!というところでキャプテンから「申し訳ないが飛行機(車輪を上げる部分)に問題があるのでタワーに戻る。」と報告がありこの貨物機は使用不可能ということに、、、、。
次に使用可能な貨物機が到着したかと思うとそれもエンジンに故障発生、またその次も、、、、、、と悪運がかさなりなんと4時間の滞在のはずが23時間にもなってしまいました。

もちろんこういった状況のために経験豊富なプロの添乗員がいるわけで、カーゴのグラウンドスタッフその他関係者に協力をあおぎながら、外部からエアコン車を接続してもらい貨物機内の馬用ストール内の温度が上がらないように調節し、馬へのさらなる給水、ストールの改造(馬のためのスペーシング、空気循環のために非常に重要)など馬体への負担を減らすようにできる限りの事が行われます。

そんな努力の甲斐もあって、シドニー国際空港へ到着した26頭は馬運車に乗り込みそこから30分ほどの検疫所へと無事移動しましたが、3日経過した現在も輸送中治療を施した1頭(咳をしていたので抗生物質投与)をのぞき全馬良好ということで、通常でも1割程度の馬たちが輸送熱を発症する英国ー豪国間の空輸だったことを考えれば上出来だとホッとしています。

英国ニューマーケットの牧場を出発してからシドニーの検疫所まで約60時間。馬たちにとっても私たちグルームにとっても本当に長ーい長ーい輸送になりました。

 

2010年10月5日火曜日

凱旋門賞2010年 Prix de l'Arc de Triomphe 2010



再びオーストラリアからドバイまで9頭のエンデュランス競技用アラブ種を輸送したあと次はイギリスからシドニーまでの26頭の輸送に添乗するためドバイからロンドンへ渡りました。
エミレーツ航空の旅客機でロンドンへ渡ったのですがエアバス社のA380に始めて乗りました。
うわさには聞いていましたがやっぱり静かですねー。!隣の人とも普通の声の大きさで話が出来るし飛行中もすごく耳に優しい感じがしました。
テイクオフなんかはすごくゆっくりでまさに航空機のリムジンに乗っているみたいでしたが、ランディングはその重量からかB747とさほど変わらなかったような気がします。

さてそのロンドンからシドニーまでの輸送は色々なトラブルに巻き込まれ大変なことになりながらも無事終わったのですがその模様は次回アップデートします。

2010年凱旋門賞はナカヤマフェスタの他数頭の馬が不利を受けと各国で物議をかもし出しておりますが、日本から参戦の2頭はすごく頑張ったと思います。
現地メディアの間でも下馬評価はそれほど高くはなかったナカヤマフェスタですが、春に当時飛ぶ鳥を落とす勢いのあったドバイ帰りのブエナビスタを宝塚記念で破っており実力どおりの結果だと思います。
ヴィクトワールピサもヨーロッパの強豪を相手に上位3分の1に入っているのですから大したものだと思います。両馬とも将来性のあるスケールの大きな馬だけに来年もぜひ参戦して次はこの上を行く結果を出してほしいですね。

今回の結果を見ても、私たち日本人関係者の夢のひとつ「日本の競走馬が凱旋門賞を勝つ」その日もそう遠くはないような気がしました。
馬と共に海を渡り勇気を持って挑戦されたスタッフの方々、またその他関係者の皆様本当にお疲れ様でした。

 

2010年9月25日土曜日

ドバイより HAY LIST ヘイリスト


ドバイに来ています。
エンデュランス競技用アラブ種6頭をメルボルンからシャージャー国際空港(ドバイ国際空港から車で30分ほどの距離)まで約18時間かけてシンガポール経由で無事空輸しました。

写真はご存知の方も多い世界一高い超高層ビル(全高828M)ブルジュ・ハリファまたの名をブルジュ・ドバイ(برج دبي、Burj Dubai)です。
本当に観ていると首が痛くなるくらい高いですが、建設時その先端でクレーン車を操る職人さんたちは、テンポラリーのトイレ、シャワー、ベッドなどその他簡単な生活用品を備えた部屋がその高さウン百メールトルの先端にあってそこでずっと生活していたとか。

オーストラリアのムーニーヴァリー競馬場でスタチューオブリバティーの産駒HAY LISTヘイリストがマニカトステークス(豪G1 1200M)を勝ちました。スタチューオブリバティー関係者の皆様方おめでとうございます。
レース画像: http://www.youtube.com/watch?v=12YEjjgvrNc

重賞3つをぶっちぎりで勝利し本物であることを証明しましたが、今後国内だけにとどまらずこのブルジュ・ハリファのように世界の頂点を目指して欲しいものです。



 
 

2010年9月20日月曜日

東南アジアと競馬産業


今回はメルボルンからマレーシア(クアラルンプール)まで5頭の競走馬を空輸しました。

シンガポール同様オーストラリアからは7時間ほどの輸送時間で済むマレーシアもオーストラリアが主要な競走馬の輸入先となっており、毎月2,3回の空輸を通じて多くの若駒が海を渡っていきます。

毎回このような東南アジアの国へ馬を輸送するたびに感じられることは、その国々の経済がものすごいスピードで発展しているということ、またその経済力を支えに輸送されていく競走馬の質も徐々に良くなっているということです。

たとえば香港の競馬産業そしてその競走馬たち(とくにスプリンター)はもはや世界の競馬地図を塗り替え始めているといっても過言はないですが、こういった東南アジアの競馬産業はこの先さらなる発展をとげ、その国々の競走馬たちが世界を舞台に活躍し始める日々も近づいているような気がします。

現在の世界の経済事情と同様に、このアジアの地域の競馬産業が世界の競馬の中心になっていく、そんな日もいつか来るのでしょうか?


 

2010年9月13日月曜日

シンガポールとロケットマン


今回はメルボルンからシンガポールまで14頭のサラブレッドを輸送しました。

シンガポールにとってオーストラリアは目と鼻の先、シンガポールの競走馬の80%ほどを占めるオーストラリア産の競走馬の若駒が、このようにして毎週のように空輸されていきいます。

まもなく日本に到着するはずのシンガポールのスタースプリンター「ロケットマン(豪)」もそんな馬の一頭ですが、今年のスプリンターズステークスは香港からの「グリーンバーティー」も含め、今から待ち遠しい国際G1になりそうで、海外からも多くの注目を集めるでしょう。

今の日本は地元(香港、シンガポール)と比べても気候にさほど変化がないので、調整も比較的楽に出来るでしょうし、本番では2頭ともしっかりと力を出してくると思われます。

しかしこの2頭以前にも「サイレントウィットネス」「セイクリッドキングダム」また欧州では名を轟かせた豪国からの参戦組「テイクオーバーターゲット」「ミスアンドレッティ」、クールモアに種牡馬として買われた2頭「シュワジール」「スターズバングルバナー」といい、オセアニア産スプリンターは今や世界でも最高レベルにあるといってもよいでしょう。


追伸:ロケットマン陣営は前レース以降、馬体重が元に戻らないという理由からスプリンターズステークスへの遠征を取りやめました。日本のファン、また地元シンガポールのファンにとっても大変残念ですね。
 
 
  

2010年9月5日日曜日

暑ーいドバイとエミレーツ


ロスからオーストラリアへ戻り一日休んだ後、シドニーからアラブ首長国連邦のドバイへやってきました。
9頭のエンデュランス用アラブ馬とシドニーを出発しメルボルン、香港を経由してドバイ国際空港まで約22時間の空輸です。

馬達も無事ドバイに到着しましたが、今はとてもとても暑い時期でこの日も43度を超えていました。

写真で馬が乗った馬運車の後ろに見えるのは、私も普段からお世話になっているエミレーツ航空の旅客機です。
ここドバイ国際空港にはなんと50機以上のエミレーツ社の旅客機が駐機していましたが、近年の路線増幅に伴い最近また一段とその数が増えたようです。(圧巻)


  


  

2010年9月3日金曜日

スタチューオブリバティー 後編


再びロスアンジェルスへきました。
ここ2ヶ月は繁殖シーズン前の忙しさもあって(クライアントの皆様ありがとうございます。)ロスへ来たのも今月ですでに4回目です。

今回は6月末に米国へ運んだスタチューオブリバティーを南半球シーズンの繋養先オーストリラリアへ輸送しましたが、他の8頭と一緒に無事約22時間の空輸を終えシドニー空港に到着したのです。
スタチューオブリバティーのコンディションも米国滞在を経てさらに良くなったようで馬体もふっくら毛づやも大変良くみえました。今シーズンの成功と無事を祈ります。

写真は今回お世話になったフェデエックス社のMD11とスタチューらが入ったホースストールですが、これはロスからシドニーへ行くFedex便では必ず経由するホノルル空港でのものです。
天気が良くさわやかな日で飛行機の窓からもワイキキビーチやダイヤモンドヘッド、真珠湾などが良く見えました。


   

2010年8月21日土曜日

オーストラリアから米国へ


今回はメルボルンからロスアンジェルスまで12頭の輸送を担当しました。

メルボルンで4頭を積み込み夜中過ぎに出発し、3時間かけてまずはニュージーランドのオークランドへ行き、そこでさらに8頭を積み込んで、もう一人のニュージーランド人プログルーム、ブルースと二人で運びました。
オークランドで地上に2時間、そこからロスまでは12時間のフライトでオーストラリア出発から約18時間の空輸です。
この18時間ぐらいまでの空輸は馬にとって負担が比較的少ない輸送で、輸送熱を発症(輸送中も到着後も)する馬も珍しいといえます。

ところが現在私たちが豪国ー米国輸送に使っているカーゴラックス(ルクセンブルグのカーゴ会社)が、今月いっぱいで南半球周りの欧州ーシンガポールーメルボルンーオークランドーロスアンジェレスのルートを撤廃するということでこれがカーゴラックス社の747貨物機を使った米国向け輸出の最後の便になりました。

今後は米国への輸出をどうするのかと思っていると、今後はキャセイ(CX)を使ってなんと香港経由になるということで、予想される輸送時間の大きな延長が懸念されます。
ニュージーランドからは、シドニーに一度運んでからということで今の倍の輸送時間がかかることになるでしょう。
馬にとって20時間特に30時間を超すような空輸は大変負担も大きくなるもので、輸送熱、せん痛なども発症しやすく、時にはその症状の悪化で命を落とす馬も出てきます。

近頃の不景気を受けた各カーゴ会社の経費削減に伴う路線撤廃は、馬という生き物を運ぶ私たちにとって大変喜ばしくないニュースであり、これ以上今の貨物機の輸送ルートが少なくならないことを願うばかりです。


   

2010年8月8日日曜日

スタチューオブリバティー 前編



繁殖シーズン前の鬼のような忙しさですっかり更新が遅くなってしまいました。

さて今年の南半球シーズンもオーストラリアへシャトルで行くことになったイーストスタッドさんのStatue Of Liberty(スタチューオブリバティー)の輸送を昨年に続き担当しました。

先のロックドゥカンブと同様にまずは一度米国に渡ってからということで、成田まで約24時間、そこからロスの検疫所まで約13時間(10時間の空輸を含め)で計37時間の輸送になりましたが、昨年同様、陸送では共栄産業さん、空輸ではNCAさんにお世話になりました。
心強いサポートのおかげで無事ロスアンジェルスに到着しましたが、クールモア時代からシャトルを経験しているため馬自身も空輸にはずいぶん慣れた様子で、積込時また機内の中でもとても落ち着いていました。

ロスの検疫所に到着し簡単な馬体検査(USDAによる体温および識別検査)の後、馬房に入るなり寝返りをうち乾草、ふすまガユを食べ始めたのでそれをみた時は、私自身も長い輸送を経てほっと一息した瞬間でした。

米国からオーストラリアまでの輸送は8月下旬に予定されていますが、名前がスタチューオブリバティー(英語で自由の女神のこと)というだけあって何かとアメリカに縁がある馬なんですかね?


   

2010年7月5日月曜日

怪物 オグリキャップ

先週土曜日の3日、北海道・新冠町の優駿スタリオンステーションでオグリキャップが放牧中に右後肢を骨折し、安楽死の措置が取られました。25歳でした。

子供のころ戦死した祖父の墓参りへ向かう途中の列車の窓からいつも眺めていた笠松競馬場とそこから生まれた「葦毛の怪物 オグリキャップ」。
90年の引退レースとなった有馬記念は、大学受験中テレビで観戦していて終わると涙があふれて止まらなくなりました。

この世界へ入ろうと決めたのも、この馬との出会いがあったからでした。
海外(オセアニア)へ向かおうと決めたのも89年のジャパンカップでこの馬が当時世界レコードの鼻差で負けた相手がホーリックスというニュージーランドから来た牝馬だったからでした。

つい一週間ほど前には浦河から成田空港へ種牡馬の輸送中、新冠あたりを過ぎるとき馬運車の窓からみえる看板に彼の名前をみつけたばかりで、この寂しさはなんともいいようがありません。

関係者の皆様方も、このようにファンに愛された名馬を無事に管理するには大変なご苦労があったことでしょう。

オグリキャップ在りし日の輝ける栄光とターフを駆ける姿を偲び、心から冥福を祈ります。


  

2010年6月20日日曜日

世界一大きな(?)シャトルスタリオン


先週の日曜日はメルボルンからニュージーランドのオークランドを経由してロス・アンジェルスまでの輸送を担当しました。メルボルンから9頭、オークランドでさらに4頭を積み計18時間の空輸でしたがその中に混じっていたのがこのシャトルスタリオン。
そう本国アメリカから南半球オーストラリアの繁殖シーズンへやってきたミニチュアポニーのシャトルスタリオンです。今回無事仕事を終えてお国へ帰るというわけです。

写真は現地(L.A)へついて体温検査およびUSDA(アメリカ農政府)の獣医さんによる馬体の照合および検査を受けているところです。
本当に小さいですが通常ミニチュアポニーとは体高が43インチ(86センチ)以下のものが規格内とされています。(ただ体高がそれ以上のクラスもあります。)
ちなみにジェットストールの中でこの馬の隣には17ハンズの馬場馬術用ウオ-ンブラッドの種馬が乗っていました。

ミニチュアポニーのスタリオンのなかには濃い血のせいかちょっとやんちゃな馬もいますが、
この馬はすごく行儀のいい馬で人の扱いにもすごく従順でした。きっと頭がいいんでしょうね。


  

2010年6月15日火曜日

ROUGH HABIT


南半球オーストラリアの冬の時期には競馬の桧舞台が暖かいQLD州へと移され、私の地元でもあるブリスベンを中心にウィンターカーニバルが開催されます。

先週の土曜日はその中でも一番のメインとなるクイーンズランドダービー、ストラドブロークハンディキャップなどのG1レースがイーグルファーム競馬場で行われました。
今年は珍しくチャンネル7の放映もあるということで主催者側もかなり力をいれて観客動員に励んでいましたが、その目玉の一つとして観客のためにゲストとして招かれたのが、往年の名馬ROUGH HABIT(ラフハビット)です。

ニュージーランドの年度代表馬に輝くこと2回(1992、1995年)、現在は23歳で地元故郷のニュージーランドでのんびりと余生を過ごしていましたが、11回のG1勝利の中でも6回がここのブリスベンのウィンターカーニバル(クイーンズランドダービー、ストラドブローク2回、ドゥーンベンカップ3回)だったということもあり、はるばるニュージーランドから飛行機に乗ってやってきたというわけです。

飛行機を降りると、「ここは何回か来たことがあるな。」といわんばかりに周りを見渡しその姿をみんなの前に現しましたが、悠々としたその振る舞いはさすが往年の名馬といったところでした。
もちろんNZからの飛行機輸送もなんなくこなし無事土曜日のレース会場に姿を現したのです。





Rough Habit ラフハビット

2010年5月28日金曜日

第77回日本ダービー

ヴィクトワールピサで間違いないでしょう。

この間の皐月賞のレース振りから、まだまだ成長過程で全能力を出し切ってないような感じです。
血統的なものをみても、ここで強い勝ち方ができるようなら確実に世界を狙える馬だといえるでしょうね(おまけは角居厩舎)。

ただ追いきりの様子を見ると皐月賞の2,3着馬ヒルノダムール、エイシンフラッシュも万全の仕上げをしてきたようですし簡単には勝たせてもらえないでしょう。
いずれにしても好レースが期待できそうで今から日曜日が待ち遠しいです。


 

2010年5月24日月曜日

ROCK DES CAMBES

 オーストラリアのイースターセール出身で日本へ輸出され、半年遅生まれのハンデを背負いながらデビューから4連勝、1番人気の菊花賞は3着、その後有馬記念で4着に入ったロックドゥカンブ。
今回はこのロックドゥカンブの日本から米国までの輸送を担当しました。
ニュージーランドのスタッドで種牡馬として来シーズンから種付けをすることになったのですが、未だに解けないオセアニア地区の日本馬に対する鎖国対策のため、アメリカという第三国へ渡り60日間滞在することで米国在住馬としてニュージーランドへ入国するわけです。
たとえば昨年シャトルで来豪したスタチューオブリバティーも同じ方法をとりました。
もちろんスタッド側にとっては米国を経由する分多大な費用が余分にかかるため、関係者の方のためにも早く日本馬に対する鎖国政策を解除してほしいと願うばかりです。

さて成田からロスアンジェルスまでの約9時間の空輸ですが、さすがに若駒時代に一度経験しているだけにロックドゥカンブはジェットストール(空輸用馬房)や貨物機への積み込み時、また飛行中もすごく慣れた様子で大人しくしていました。
ロスアンジェルス空港からハリウッドパーク競馬場の検疫所まで移動し体温や馬体のチェックを受けたあと馬房へ入れると、まったく初めての場所だというのに、すぐに一度寝返りをうち、水を飲んだり乾燥をむしゃむしゃと食べ始めました。
写真はそのときのものですが、見る限り馬体重の減りもほとんど無さそうでした。

このロックドゥカンブような馬を輸送してみると、若駒時代に一度空輸を経験するというのは、その後競走馬として海外遠征したり、種牡馬となってシャトルで海外へ渡る際にもその経験がすごく生きるということが実感できますね。



  

2010年5月19日水曜日

ディープ2世日本へ



今回はメルボルンから日本(成田)までイヤリング1頭の輸送を担当しました。
空港へ行き馬運車から降りてきた馬をみてビックリ。なんとディープインパクトの産駒だったのです。

日本でディープインパクトと交配された母親がその後オーストラリアへ輸出され、ハンターバレーのアローフィールドスタッドで生んだのがこの牡馬ということです。
なんやらややこしい話ではありますが、馬インフルエンザ発症後の日本に対するオーストラリアの鎖国が始まる前は、Nファームさんも多くの繁殖牝馬を輸出していましたからその中の一頭だったのでしょう。

はじめてみるディープ2世は、小柄ながらバネのありそうでバランスのとれた馬体、きりっと澄んだ瞳、大きな鼻孔、周囲の音に敏感に反応する耳、そして初めて来る場所(空港)だというのに落ち着き払ったその態度は、いかにも頭のよさそうな馬でついつい一目惚れしてしまいました。

輸送中も機内には一頭だけということでときおり嘶いていましたが、それ以外は香港経由の約16時間の輸送の間もおとなしくおりこうさんにしてくれていました。

今から日本でのデビューが待ち遠しいディープ2世でした。


 

2010年5月17日月曜日

シンガポール国際レース2010

まずはクリスフライヤーインターナショナルスプリント(国際G1)。

ドバイでのレース振りやシンガポールへ帰国後の好調を伝えられていたロケットマン(豪)、
今年のレースでは負けないだろうと私も思っていました。
実際ふたを開けてみると香港から参戦のグリーンバーディーに足元をすくわれまたもや2着。
ジョッキーのロビー・フラウドも調教師のパトリック・ショーも雨を含んだやわらかい馬場が原因だと、、、。

しかし香港のスプリント馬の層の厚さには驚きます。個人的にはハッピーゼロが唯一の相手だと思ってましたし圧巻です。
スプリンター(芝)の層の厚さはオーストラリアが世界で一番だとよく言われますが、そのオーストラリアが主な輸入先となっている香港の競走馬、特にスプリンターは近年の目に見張る活躍を観るともはや世界トップレベルと言えるでしょう。


レース結果およびリプレー
http://www.turfclub.com.sg/tabid/203/ctl/ResultDetail/mid/824/ItemId/750/r/9/Default.aspx


次にシンガポールエアラインズインターナショナルカップ(国際G1)。

混戦を予想していましたが期待通りの好レースになりました。
結果はリザーズディザイアがドバイでの屈辱を晴らしてグロリアデカンペオンを破り優勝。
調教師は今をときめくマイク・デコック(南ア)。

ただ、、、、直線リザーズデザイアのものすごい斜行。シーア騎手は鞭を持ち替える事もなく残り400mから右鞭を入れ続け3着に入ったアルシェマーリはゴール手前で思いっきり不利を受けていました。
プロテストが行われたどうかは分りませんが、他の国であればおそらくグロリアデカンペオンが1着、アルマシェーリ2着、そしてリザーズデザイアが降着3着となっていてもおかしくないでしょう。
シーア騎手は1週間騎乗停止処分を受けましたがこれも他の国の基準からすればすこし甘すぎるぐらいの裁定ですね。

日本勢はシャドーゲイトがゲートで暴れ直前に出走取り消し、雨でぬかるんだ馬場で力を発揮できなかったヤマニンキングリーが最下位といいところがありませんでした。
関係者の方もこれにめげずこれからも果敢に挑戦してほしいものです。

個人的には高岡調教師のジョリーズシンジュが直線半ばまで先頭を走り見せ場を見せてくれたのでうれしかったです。ジョッキーのロニーも「昔の彼女に戻ったようだ。」と最近の不調からの復活を感じていましたし、これからの国内での活躍に期待したいところです。

レース結果およびリプレー
http://www.turfclub.com.sg/tabid/203/ctl/ResultDetail/mid/824/ItemId/750/r/10/Default.aspx


  

2010年5月16日日曜日

オーストラリアのおへそ


先日マレーシアからメルボルンへ向かう途中の旅客機の中で映画を観ていると機長からのアナウンスが入りました。
機長によると左側の窓からあるものが見えるというのです。

そのあるものとは「オーストラリアのおへそ」とも言われます。そう「エアーズロック」です。
写真で見たことのある巨大な一枚岩であるエアーズロックは、台形のような形をしているんですけど真上から見るとこんな感じなんですよ。

ちなみに機内の右側からは「風の谷のナウシカ」の舞台にもなったことのある「マウントオルガ」が見えました。
昼間の時間帯の飛行機の窓からは意外なものがみえたりして、それも飛行機に乗る楽しみの一つですね。



  

2010年5月13日木曜日

貨物機を馬が占領?


今回はシドニーからマレーシアまでの輸送を担当しました。

エンデュランス競技用アラブが5頭、3歳の競走馬が1頭、ポロ競技用馬が3頭の計9頭の輸送でしたが、なんとマレーシア航空のB747貨物機には私たちのジェットストール(馬空輸専用)が3つ積まれただけでした。

シドニーからマレーシアへ向かう便は比較的かもつの積載量も少ないことが多いのですが、今回のようなケースは珍しく写真からも分るようにまさに「馬が貨物機1機を占領」した状態になってしまいました。
こんな状態では航空会社側にとってこの便に限っては当然赤字になるわけで、ただでさえ収益率の悪いといわれる航空輸送業界だけに心配になってしまいます。
最近の不景気の影響も受け貨物輸送から撤退していく航空会社が多いなかで、利用できる貨物便がさらに少なくなっていくのは馬を輸送する私たちにとっても大変好ましくないことです。

シドニー空港を夜9時に出発し、クアラルンプールへは明朝3時に到着しました。計8時間ちょっとの空輸になりますがフライト時間も短いので馬にとっても比較的負担の少ない輸送といえます。
今回も無事に全9頭がそれぞれの牧場、施設へと運ばれていきました。

2010年5月2日日曜日

第141回 天皇賞(春)

やりましたね、クレイグ ウィリアムス。
来日間もないうちに大きいところを獲りました。
地元オーストラリアでは昨年へイズ厩舎と決別があったりなど、最近いろいろ苦労もしていましたが
ここでそのうっぷんを少しは晴らしたんじゃないでしょうか?

レース中も落ちついて中盤にうまくつけていましたが、仕掛けどころ、またコーナーを回ってからの追い出しも完璧でしたね。
ジャガーメイルの実力を十分に出し切り完勝だったと思います。

でもオウケンブルースリ、ドリームジャーニーやウォッカなど超一流どころがいない中で
前走京都記念(G2)ブエナビスタの2着というのはフォームも際立っていましたね。
その後ブエナビスタはドバイシーマクラシックで僅差の2着ですから、、、、。

人気になったエアグルーブの仔フォゲッタブルは多少残念でしたね。
ここできっちり勝てればダンスインザダーク産駒だけにメルボルンカップも狙ってほしかったんですが。
まだ4歳だけにこれからに期待したい1頭ですね。

レース結果とリプレー
http://jra.jp/datafile/seiseki/g1/haruten/result/haruten2010.html

2010年4月26日月曜日

オーデマピゲクイーンエリザベスII世カップ(国際G1)

頑張りましたね、ネヴァブションNEVER BOUCHON (JPN) 。

後藤騎手の積極的な先行策がいい結果につながったような気がします。
それとこの馬がここまで実力を出し切れたのは、同厩舎スタッフの努力でコンディショニングがうまくいったことが一番の理由でしょう。

今後の遠征に向けていい自信になったのではないでしょうか?
これからもこれを機会にどんどん挑戦して欲しいものです。

スタッフの皆様とにかくお疲れ様でした。


レース結果およびリプレイ

http://www.hkjc.com/english/racing/Results.asp?RaceDate=25/04/2010&RaceNo=08&venue=


 

2010年4月19日月曜日

富士山


先月、中山グランドジャンプへ参戦することになったオーストラリアのPentific(ペンティフィック号)とその帯同馬の輸送を担当し日本へ帰国しました。


その際国内線に乗った時に運良く見えたのが「富士山」。

もちろん何度も生でみたことはありますが思わずシャッターを切ってしまいました。

いつ観ても偉大で美しい富士山はやっぱり「日本の心」ですね。

外国生活が長くなると余計にそんな思いが強くなってしまって、無性に富士山が観たくなったりするものでしょうか?