2010年10月10日日曜日

英国からシドニーまでの遠い道のり


さてイギリスーオーストラリア間の輸送ですが、ロンドンから定期カーゴ便を使ってコペンハーゲン、シンガポールと経由し約30時間後やっとシドニーへ到着します。

地理的にも地球の裏側からその反対までの移動になりますが、この二国間の馬の輸送は私たちの添乗する空路輸送のなかでも長時間にわたるものの一つで、馬にとって大変負担の大きくなる危険な輸送だけに、現地のエージェント、空輸スタッフ、エアライン(カーゴ会社)、クルー、陸送会社などそれぞれのプロフェッショナルが協力をして無駄な輸送待機の時間が生じないよう速やかに行わなければなりません。

今回の輸送まずは馬が輸出検疫で滞在している英国ニューマーケットの牧場から馬と共にホースボックス(馬運車)に乗り込みヒースロー国際空港へ。そこで馬たちは馬運車からジェットストール(馬空輸用ストール)へ積み込まれシドニーへ向けていざ出発です。馬たちは種牡馬、競走馬、馬術競技馬、ポニー、アラブ種など全部で26頭。中規模数の空路輸送のため私たちプロのグルーム3人の他ここからベット(獣医)1人が加わり計4人が空輸スタッフとして添乗しました。

道中は問題もなくスムーズでシンガポールに経由し、さて最終目的地のシドニーへ向けて出発!というところでキャプテンから「申し訳ないが飛行機(車輪を上げる部分)に問題があるのでタワーに戻る。」と報告がありこの貨物機は使用不可能ということに、、、、。
次に使用可能な貨物機が到着したかと思うとそれもエンジンに故障発生、またその次も、、、、、、と悪運がかさなりなんと4時間の滞在のはずが23時間にもなってしまいました。

もちろんこういった状況のために経験豊富なプロの添乗員がいるわけで、カーゴのグラウンドスタッフその他関係者に協力をあおぎながら、外部からエアコン車を接続してもらい貨物機内の馬用ストール内の温度が上がらないように調節し、馬へのさらなる給水、ストールの改造(馬のためのスペーシング、空気循環のために非常に重要)など馬体への負担を減らすようにできる限りの事が行われます。

そんな努力の甲斐もあって、シドニー国際空港へ到着した26頭は馬運車に乗り込みそこから30分ほどの検疫所へと無事移動しましたが、3日経過した現在も輸送中治療を施した1頭(咳をしていたので抗生物質投与)をのぞき全馬良好ということで、通常でも1割程度の馬たちが輸送熱を発症する英国ー豪国間の空輸だったことを考えれば上出来だとホッとしています。

英国ニューマーケットの牧場を出発してからシドニーの検疫所まで約60時間。馬たちにとっても私たちグルームにとっても本当に長ーい長ーい輸送になりました。

 

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