さてオーストラリアからドバイへの馬の輸送は普段だとSQやCXなどのカーゴ定期便を利用し、それぞれシンガポール、香港などを経由しながら目的地であるドバイ国際空港もしくはシャージャー国際空港を目指します。ところが今回はドバイの殿下の馬(主にエンデュランス競技用アラブ種)20頭ばかりの輸送ということで、殿下の専用貨物機B747でメルボルンからドバイまで直行13時間の空輸を行いました。
この殿下の専用貨物機、前は真っ白のB747Fだったんですが昨年末にこちらの新しいB747(お腹からおしりにかけて、またエンジン周りのブルーが特徴的ですね。)をお買いになられました。
以前にもこれについては触れましたが、この貨物機は、殿下が世界中から買い集めてくる馬たち、また所有している種牡馬、繁殖牝馬、競走馬などを主に運ぶための貨物機で、言ってみれば自分自身の「馬専用飛行機」なのです!
私たちがドバイへ向かう前日にメルボルンまでゴドルフィンのメルボルンカップに出走する馬を2頭(飛行機に乗っていたのはそれだけです!)乗せてきていたのですが、ホースストールのスペースも使い放題(通常3頭用に1頭か2頭のみ)で馬たちにとってのファーストクラスがあるとすればこんな感じになるんでしょう。貨物機の出発時刻や航路も馬にあわせてなど、本当に馬にとっては至れり尽くせりで夢のような話です。
2010年10月27日水曜日
2010年10月24日日曜日
So You Think - Cox Plate 2010 (コックスプレート豪G1)
今週はシドニーから2頭の競技馬(障害)をインドネシアのジャカルタまで空輸しました。
水曜日の午前中にシドニーを発ちメルボルンを経由した後まずはマレーシアのクアラルンプールへ。
クアラルンプール空港には「Animal Hotel」なるものがあり、そこで馬を一度空輸用ホースストールからおろし十分な広さの馬房へと移動させます。
クアラルンプールからジャカルタ行きの貨物機は次の日の朝までないということで、そこで13時間待機した後再度馬達をホースストールに積み込み出発。
そこからジャカルタまでは2時間ほどのフライトで到着し、待ち構えていた新しいオーナーのもとへ無事渡っていきました。
さてオーストラレシアのWFA最強馬決定戦、コックスプレート(豪G1)を今年は家で観戦しましたが、、、。
何ですかね?この馬の強さは凄過ぎます! SO YOU THINK(牡4)は並み居る強豪を相手に付け入る隙を与えず完璧な勝利でした。
何がすごいってこのレースがまだなんと10戦目!それですでにコックスプレートを連覇しているのですから大したものです。
まわりのメディアは3回このレースを勝った往年の名馬「キングストンタウン」と比較したり、関係者もレース後メルボルンカップ出走へ前向きな発言をしたりと話題が尽きることはありませんが、もしメルボルンカップにこのまま出走することになれば簡単に勝ってしまうのでしょうか?
しかも調教師は今や伝説となった真の「メルボルンカップキング」B.カミングス調教師とくれば、、、、。
SO YOU THINK???
2010年10月17日日曜日
2010 BMW Caulfield Cup コーフィールドカップG1(豪)
今週は木曜日にメルボルンから20頭(アラブ種)と共に殿下の専用機で出発しドバイまで行って来ましたがその様子は次回に。
ドバイからオーストラリアに戻りコーフィールドカップ(豪G1、芝2400m)を自宅で観戦しました。
今年はトウカイトリックが豪国でのEI(馬インフルエンザ)発症後、日本馬としては初めての豪G1参戦ということで楽しみにしていましたが、あの最悪の馬場(Heavy10)でよく走ったと思います。
ビデオを見ると、最終コーナーで内にいた人気馬のShockingが思いっきり外に進路をとったことで不利を受け、一時はさまれるなどバランスを崩し後退していますが、バランスを立て直した後はしっかり最後まで伸びていました。
野中調教師のコメントのように本番のメルボルンカップでは距離が得意の3200mになるのでぜひ頑張ってほしいですね!
2010年10月10日日曜日
英国からシドニーまでの遠い道のり
さてイギリスーオーストラリア間の輸送ですが、ロンドンから定期カーゴ便を使ってコペンハーゲン、シンガポールと経由し約30時間後やっとシドニーへ到着します。
地理的にも地球の裏側からその反対までの移動になりますが、この二国間の馬の輸送は私たちの添乗する空路輸送のなかでも長時間にわたるものの一つで、馬にとって大変負担の大きくなる危険な輸送だけに、現地のエージェント、空輸スタッフ、エアライン(カーゴ会社)、クルー、陸送会社などそれぞれのプロフェッショナルが協力をして無駄な輸送待機の時間が生じないよう速やかに行わなければなりません。
今回の輸送まずは馬が輸出検疫で滞在している英国ニューマーケットの牧場から馬と共にホースボックス(馬運車)に乗り込みヒースロー国際空港へ。そこで馬たちは馬運車からジェットストール(馬空輸用ストール)へ積み込まれシドニーへ向けていざ出発です。馬たちは種牡馬、競走馬、馬術競技馬、ポニー、アラブ種など全部で26頭。中規模数の空路輸送のため私たちプロのグルーム3人の他ここからベット(獣医)1人が加わり計4人が空輸スタッフとして添乗しました。
道中は問題もなくスムーズでシンガポールに経由し、さて最終目的地のシドニーへ向けて出発!というところでキャプテンから「申し訳ないが飛行機(車輪を上げる部分)に問題があるのでタワーに戻る。」と報告がありこの貨物機は使用不可能ということに、、、、。
次に使用可能な貨物機が到着したかと思うとそれもエンジンに故障発生、またその次も、、、、、、と悪運がかさなりなんと4時間の滞在のはずが23時間にもなってしまいました。
もちろんこういった状況のために経験豊富なプロの添乗員がいるわけで、カーゴのグラウンドスタッフその他関係者に協力をあおぎながら、外部からエアコン車を接続してもらい貨物機内の馬用ストール内の温度が上がらないように調節し、馬へのさらなる給水、ストールの改造(馬のためのスペーシング、空気循環のために非常に重要)など馬体への負担を減らすようにできる限りの事が行われます。
そんな努力の甲斐もあって、シドニー国際空港へ到着した26頭は馬運車に乗り込みそこから30分ほどの検疫所へと無事移動しましたが、3日経過した現在も輸送中治療を施した1頭(咳をしていたので抗生物質投与)をのぞき全馬良好ということで、通常でも1割程度の馬たちが輸送熱を発症する英国ー豪国間の空輸だったことを考えれば上出来だとホッとしています。
英国ニューマーケットの牧場を出発してからシドニーの検疫所まで約60時間。馬たちにとっても私たちグルームにとっても本当に長ーい長ーい輸送になりました。
2010年10月5日火曜日
凱旋門賞2010年 Prix de l'Arc de Triomphe 2010
再びオーストラリアからドバイまで9頭のエンデュランス競技用アラブ種を輸送したあと次はイギリスからシドニーまでの26頭の輸送に添乗するためドバイからロンドンへ渡りました。
エミレーツ航空の旅客機でロンドンへ渡ったのですがエアバス社のA380に始めて乗りました。
うわさには聞いていましたがやっぱり静かですねー。!隣の人とも普通の声の大きさで話が出来るし飛行中もすごく耳に優しい感じがしました。
テイクオフなんかはすごくゆっくりでまさに航空機のリムジンに乗っているみたいでしたが、ランディングはその重量からかB747とさほど変わらなかったような気がします。
さてそのロンドンからシドニーまでの輸送は色々なトラブルに巻き込まれ大変なことになりながらも無事終わったのですがその模様は次回アップデートします。
2010年凱旋門賞はナカヤマフェスタの他数頭の馬が不利を受けと各国で物議をかもし出しておりますが、日本から参戦の2頭はすごく頑張ったと思います。
現地メディアの間でも下馬評価はそれほど高くはなかったナカヤマフェスタですが、春に当時飛ぶ鳥を落とす勢いのあったドバイ帰りのブエナビスタを宝塚記念で破っており実力どおりの結果だと思います。
ヴィクトワールピサもヨーロッパの強豪を相手に上位3分の1に入っているのですから大したものだと思います。両馬とも将来性のあるスケールの大きな馬だけに来年もぜひ参戦して次はこの上を行く結果を出してほしいですね。
今回の結果を見ても、私たち日本人関係者の夢のひとつ「日本の競走馬が凱旋門賞を勝つ」その日もそう遠くはないような気がしました。
馬と共に海を渡り勇気を持って挑戦されたスタッフの方々、またその他関係者の皆様本当にお疲れ様でした。
登録:
投稿 (Atom)